他人にイライラしてしまう。
特に世の中は「新型コロナ」真っ只中。
ちょっとした咳払いひとつで、知らないうちにそっちを、キッとにらんでしまう。
「まったくエチケットのなっていないやつだ。どこかよそへ行け」
例えばここで、「ちょっとムカッときたけど、ちょっとまてまて。
こんな時に咳が出てしまうなんて、本人は周りが気になって仕方がないだろうな…かわいそうに…」と思えたらどうだろう。
少なくともすぐに怒る自分よりも、寛容な自分の方が幾分豊かな人生を送ることができるかもしれないと思えないだろうか。
事実、多くのエビデンスが、「怒り」が体に悪い影響を与えていることを示唆している。
ただ、いくら悪者とはいえ、喜怒哀楽というくらいに「怒る」こと自体は人間の感情の本質でもあるので、全く無くなることはないだろうし、無くしてしまおうと無理をすることで逆にストレスをため込み、体に悪い影響が出てしまうことだってあるだろう。
要は、「怒り」の正体を見極め、「怒り」とどのように付き合い、「怒り」をどのようにコントロールしていくかだ。
人間関係、仕事、恋愛、人が抱える悩みの多くは、実はこの「怒り」に起因していると言っても過言ではない。
この記事を読み終わる頃には、今よりも楽に生きられる自分に出会うことができるかもしれません。
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①「怒り」で得られる3つのもの
■体調不良
・肩こり
・頭痛
・吐き気
・目眩
・情緒不安定
・胃腸の不調
・不眠
いつも怒っている人、つまり、イライラしている人は常にストレスを抱えている。
ストレスを抱えているからイライラする、とも言える。つまり、「怒り」と「ストレス」は切り離すことのできない関係にあるのだ。
そうやって常にストレスを抱えていて体に不調が出ないわけがない。
先の具体例は、全て人間の自律神経が乱れた時に体から発せられるサイン、もっと言えば悲鳴と言って過言ではないだろう。
怒りによるストレス
↓
ホルモンバランスの崩れ
↓
体調不良
↓
ストレスがたまる
↓
さらに怒りが増加
↓
体調の悪化
読むだけでしんどい負のスパイラル・ループだが、これを放置すると最悪の場合、うつ病の発症など、日常生活に支障をきたしてしまうことは想像に難くない。
何かのきっかけで自分の不調に気づき、もしかしたら「怒り」に囚われているかもしれない、と感じることができたら、それだけで大変な収穫なのだ。
■判断力の鈍化
「別れ話を持ち出されたのでついカッとなってやってしまった」この文言から想像することは何だろう。
「怒り」にまかせて取り返しの付かないことをやってしまった、という深い後悔の念を感じないだろうか。
「怒り」がもたらす悲劇の極端な例かも知れないが、ここには「怒り」の本質が隠されている。
「徹夜で必死に書いた企画書にケチを付けられたので、担当者に叩きつけてやった」
つまり、怒ることは正しい私を守るための当然の行為、(少なくとも私にとってその瞬間は)なのだ。
「怒り」の背後には自分を守るための「自己防衛本能」が潜んでいる。
古代、乳飲み子を抱え食料の調達に向かうあなたの前に凶暴な獣が現れ、捕食されそうな状況であれば、大いに「怒り」モードを発動し、アドレナリンを放出して心拍数を上げ、恐怖心(理性)を鈍らせることで、その局面を乗り切らなければならない。
しかし、現代の仕事やプライベートで自己防衛本能に基づいて「怒り」モードを発動しても、理性を失った人間の行為の後に残るのは、やはり「後悔」だけだろう。
怒りにまかせた何気ない一言が、取り返しの付かない経営損失や人間関係の破綻を招くことは火を見るより明らかだ。
そうならないためには、「理性」によるこころのコントロールが必要になる。
■現実逃避
人間を心理学的に理解する上で「怒り」は古くから大きな手がかりとなってきた。
これまでの研究で明らかなことは、「人間は常に自分が正しいという基準に立って行動している」ということだ。
砂漠の真ん中で、ジャングルの奥地で、どの方角に進むべきかを人は自分の判断を正しいと信じて決断しなければならない。
もちろんそれは人類がこれまでの成長の過程で獲得してきた大切な性質ではあるが、社会的な生き物としてこれほどやっかいなものはない。
正しいと思っているはずの自分を否定されると、「それは受け入れられない」と感じて「怒り」を感じるしかないからだ。
果たして本当に自分は正しいのだろうか。
この問いを持てない以上、その「怒り」から抜け出すことはできない。
〈社内でいじめを受けているAさん〉
Aさんはあまり人の話を聞かず、いつも余計な一言で人を傷つけてしまいます。
そのため、職場で浮いた存在となってしまい、同僚は距離を置くようになってしまいました。
Aさんは自分がなぜそのような仕打ちを受けるのかさっぱりわかりません。
「私は何も悪いことはしていないのに、いじめを受けている」
つまり、Aさんは現実の問題から目をそらしているために、知らずのうちに「怒り」をため込んでいくことになる。
その結果、さらに現実を認識する力は鈍り、「怒り」の沼に沈んでいくことになる。
以上が「怒り」で得られる3つのものだ。
②怒っているのを見た人の気持ち
あなたの目の前に怒り心頭に発して、罵詈雑言を並び立てる人がいたとする。
「馬鹿野郎!」「クズ!」「犯罪者!」
あなたはどう感じる?それはもしかしたら、怒りに身をまかせた時のあなたの姿かもしれない。
■可哀相…
怒りの感情をコントロールできない人の姿はまるで、むずがっている子供だ。
いい年をして自分の感情の管理ができないのは可哀相な人だと多くの人は感じるだろう。
■関わりたくない
そもそも怒りにまかせてわめき散らす人に、常識は通用しない。
下手に介入すると、とばっちりを食ってしまうかもしれない。
触らぬ神にたたりなし。くわばらくわばら。
■迷惑な奴
少なくとも私には関係ないのに、そんな大きな声で騒いで…。
私はただ穏やかに過ごしたいだけなのに…。
カフェや映画館といった公共の場、もちろん、SNS上でも同じことだ。怒りにまかせたいがみ合いを好んで見たい人なんて、嗜好のねじ曲がった一部の人たちだけだろう。
③あなたは怒る人?
ここまで、怒りの表の顔と自分や他人への影響を見てきた。
ここからはいよいよ「怒り」をコントロールするために「怒り」の本質を暴いていこう。
その前に、まずはあなた自身を知る必要がある。誰かに見せるわけではないのでこの際、素直に「Yes」か「No」で答えてもらいたい。
Q1:やらなければいけないことが上手くいかなくなると
イラッとして放置したり投げ出したりしたことがある。
Q2:周囲の人がしつこいとイライラしてしばらくの間無視をしたくなる。
Q3:なんとなくイライラした気持ちがあったので、周りのものに当たったことがある。
Q4:友人と喧嘩をしたら感情の抑制が効かず物を投げたことがある。
Q5:電車を待つ時に並んでいたら横入りをされた。
イラッときたので、その人にすぐに文句を言ったり
睨みつけたことがある。
Q6:恋人や家族に自分の気持ちを理解されずに泣きわめいたことがある。
Q7:会議や人の話が長く、イライラしてしまうことがある。
Q8:レストランで食事を待っていたら、後で注文した人の方が先に料理が出てきたらイラッとしたり、店員に文句を言ったことがある。
Q9:上司や同僚など誰かから指摘をされるとやけ酒を飲みたくなることがある。
Q10:自分のことを非難されたので、相手のことを非難したくてたまらなくなる。
実はこの質問、「Yes」が多ければ多いほど、「幼稚性」が高いということになる。
つまり、幼稚性が高いほど怒りやすい人ということなのだ。
幼稚性とは、思考回路が子供の頃から成長せず、感情のままに行動するということ。
そんな人は、自分の感情をコントロールすることが苦手で衝動に駆られやすいという危険性がある。
④すぐ怒る人の特徴
すぐに怒る人、イライラする人には共通の特徴がある。
中には成功する人もいるが、その場合は圧倒的に優れた頭脳を持っていることが前提となるので、私たちの大部分にとってはあまり関係のない話だ。
すぐ怒る人の特徴を見てみよう。当てはまっていたとしても何も問題はない。
自分を客観的に見ることが全ての始まりになるからだ。
■自己肯定感が低いのにプライドが高い
成功体験が極端に低く、自己肯定感もない。自分のことはだめな奴だ。
メンヘラだ…と思いながらもいざ人から間違いを指摘されると山の噴火のように怒りが湧き出す。
そして、なりふり構わず倍返し、三倍返し、相手のことを責め立てる。
間違いを指摘されないまでも、意見が異なるだけで、自分が全否定されたと早合点するのもこうした人の特徴だ。
自分に自信はないけれど、人の意見を聞くこともできない。
こうした矛盾が胸の中で起きている。
■自分を擁護・リスペクトしてくれる人が周囲にいないと感じている
いざというときに自分を守ってくれる人がいないと感じている人は、自分で自分の身は守らなければならない。
誰かに頼ることができないので、自己防衛は過剰になりやすく、ちょっとして否定を受けるだけで爆発してしまう。
通常だと受け流せる程度の会話でも、受け流せなくなるのだ。
■みんな自分のことを理解していると思い込んでいる
「私は正しい」、だから「理解されてしかるべきである」この思いが強いほど、自分と異なる意見や行動に対し、怒りを感じる。
この怒りの背景には、自分は正しいのだから言うことを聞いてほしい、という願いがある。
さらに、孤独感。
孤独であるがゆえに「自分を受け入れてほしい」という思いが強くなる。
その結果、自分とちょっとでも意見が異なるだけで、「自分が間違っているなんて受け入れられない」となるのだ。
■Yes No思考が強い
怒りやすい人は、どんな事柄でも、「正解」か「不正解」の二者択一で物事を捉えがちな傾向がある。
SNSを見ると、この傾向のある人がいかに多いかが分かるはずだ。
ある人の意見に対して、「それは違う!」「それは間違っている!」と自分の意見を押しつける人である。
自分のものの味方でしか世界を見ることができないので、とても視野が狭くなってしまう。
すると、世間は間違いだらけ。休む間もなく戦闘態勢が続く。
⑤「怒り」の正体
「自分自身に対する深い怒り」というと、何か哲学的な内省の深みを感じるが、今ここで問題となっているのは、対外的、対人的に発せられる感情の一つだ。
「怒り」の対象となる人がいる以上、ある意味で、「怒り」は、一方的で攻撃的なコミュニケーションの形といえるかもしれない。
実はそうした「怒り」の背景にはどうやらその人の本心が隠されている。
いよいよ、「怒り」の正体に迫る。
■「自分のことを受け入れてほしい」
自分のことを理解してほしい。
これは、周囲に理解者が少なかったり、幼少期に否定されて育った人ほどこの思いが強くなる。
寂しさの現れだ。ただ、自分自身のことでさえよく分からないのに、他人が自分のことを理解してくれるなんていうことは幻想にすぎない。
つまり、ないものねだりだ。
■構ってほしい
赤ちゃんの「むずがり」と同じ。怒りや泣くことで相手の気を自分に向けようとする。
時々、体調不良を引き起こすことで自分に関心を寄せようとする心理が働く人がいるがそれと同じことだ。
怒ることで注目を浴びようとするのは幼い発想だと思うかもしれない。
しかしこれは無意識(自覚できない意識)が勝手に行動していることなので自分で気づくことがなかなか艱難である。
■自分の意見と違う=攻撃だと感じる
自分に自信がないと、異なる意見を言われた時に攻撃をされていると判断する。
そうすると、怒りが湧き、反撃をしようという心理が働く。
これは自信のない自分を守ろうとする自己防衛本能の働きが生じることによって起こる。
文字にすると、「なんだそんなことか」と思うかもしれないが、文字にする一呼吸がとても大切なのだ。
「怒り」のスピードはすさまじく、「理性」はどちらかというとそれほど足は速くはない。
「理性」を鍛えることで「怒り」に負けないこころを育てなければならない。
いかに自分を客観的に見つめることができるか。
「怒り」のコントロールはその一点にかかっている。ただ、難しく考える必要はない。
次に示す、思考手順を身につけるだけで「怒り」に支配されない、楽な自分を手に入れることができるはずだ。
【怒りと付き合うワーク】
①自分の感情に気づく
◆最近イライラした事を書いてください。
1)その時にあなたはどんな行動をしましたか?
2)怒れた時にあなたはどんな気持ちでしたか?
3)どうしてそう思いましたか?
②怒りの種類を知る
◆最近どんなことに怒りましたか?
1)あなたはどんな時にイライラしますか?
2)それぞれの出来事に対して怒りの度合いを1~10で書いてください。
③起こったことによる結果を知る
1)上記②の出来事であなたはどのような態度を取りましたか?
2)その事によりどのような結果がおこりましたか?
④怒りの対処法を学ぶ
1)怒りが高まるとどのような身体的な変化がありますか?
次に、怒りのコントロールは怒っている時と冷静の時の対処法を統一する必要があります。
怒っている時の対応と冷静の時の対応をそれぞれ記載しましょう。
◆最近怒ったことを1つ書いてください
怒りの時の対応:
冷静の時の対応:
◆もしも、あなたが人から否定されたらどんな態度を取りますか?
怒りの時の対応:
冷静の時の対応:
⑤冷静でいることのメリット・デメリットを考える
感情に支配されないようにするためには、常にメリット・デメリットを考えて論理的に判断をすることが必要。
そうすることにより、怒りの感情が湧き上がった時でも冷静に対処することができる。
1)怒ることにどんなメリットがあるのか書き出しましょう。
2)逆にどんなディメリットがあるか書き出しましょう。
3)冷静の場合で対応する場合はどんなメリットがありますか?
⑥自分の怒りのポイントを理解する
どんな時に自分がイライラするのか、どんなことをされるとキレるのかをしっかりと知ることが重要。
直近の自分の行動はどうだろうか。
1)どんな事が苛立ちますか?思いついた事を記載してください。
マイルールが多いほど他人にイライラしやすくなる。
自分で作った自分のルールを他者にも押し付けようとすることにより、イライラすることが増える。
例えば、仕事の方法、人との接し方、などマイルールを人に押し付けようとしていないのかを確認してみよう。
2)イライラした中にどんなマイルールがありましたか?
⑦怒りのシミュレーションをする
あらかじめ、自分が怒っている状況を書き出す。そしてその原因に対してベストの対応は何か記載しよう。
<まとめ>
「怒り」をコントロールする方法は怒りの理由を紐解きロジカルに物事を判断できるようにすることだ。
これは、一朝一夕にできるものではない。
日々の積み重ねが改善へとつながっていく。
このワークは怒りの気持ちが湧いてくる度に繰り返し行ってもらいたいです。
そうすると、徐々に怒りに支配されるのではなく、怒りを支配することができるようになります。
この記事は、カウンセリング会社のライフファクトリーによりご提供をいただきました。
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